第6回　文字とタイポグラフィの基礎 — デザインの8割は「文字」で決まる

　動画編集も中々時間が取れず進まないので今回から少しAdobe Creative Cloud活用法を考えてみようと思います。最近のAIを使ってみたいと思います。

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「デザインがおしゃれにならない」「なぜか素人っぽさが抜けない」……。

そんな悩みの正体は、実は「文字（タイポグラフィ）」*１にあるかもしれません。

デザインにおける情報の多くは文字によって伝えられます。「デザインの8割は文字で決まる」と言われるほど、フォント選びと文字の整え方は重要なスキルです。今回は、プロが必ず実践しているタイポグラフィの基本を解説します。
*１タイポグラフィ（Typography）を一言で言うと、「文字を適切に配置して、読みやすく、かつ美しく見せるための技術やデザイン」のことです。

もともとは活版印刷の用語でしたが、現代のデザインにおいては「どんなフォントを選ぶか」だけでなく、「文字の大きさ、行間、余白をどうコントロールするか」という文字周りのデザイン全般を指します。

フォントの心理学　選ぶ基準は「印象」
文字組みの黄金律　読みやすさをコントロールする
1. 2. 文字組みの黄金律：読みやすさをコントロールする
2. 最終チェック
カーニングの技術：細部に神は宿る
まとめ　文字に意思を込めよう

フォントの心理学　選ぶ基準は「印象」

タイポグラフィとは？

タイポグラフィ（Typography）とは、一言で言うと**「文字を適切に配置して、読みやすく、かつ美しく見せるための技術」**のことです。

単にフォントを選ぶだけでなく、文字の大きさ、行の高さ、文字同士の隙間をコントロールし、**「情報をストレスなく届けること」と「世界観を伝えること」**の両立を目指します。

1. 日本語フォントの基本

日本語のデザインでまず押さえておくべきは、大きく分けて以下の3つのカテゴリーです。

明朝体（Mincho）
- 特徴： 縦線が太く、横線が細いのが特徴。文字の右端に「ウロコ」と呼ばれる装飾（セリフ）があります。
- 印象： 繊細、上品、知的、伝統的。
- 注意点： 非常に繊細なため、スマホなどの小さな画面で極端に細い明朝体を使うと、かすれて見えにくくなる（長文には不向きな場合もある）ため注意が必要です。
ゴシック体（Gothic）
- 特徴： 縦横の線の太さがほぼ均一で、装飾がありません。
- 印象： 力強い、モダン、親しみやすい、安定感。
- 用途： 視認性が高いため、Webサイトの本文や、パッと目を引きたい見出しに最適です。
デザイン書体
- 特徴： ポップ体や行書体、江戸文字など、特定のテーマに特化した書体。
- 用途： 「楽しさ」や「和風」など、特定の雰囲気を作りたい時にアクセントとして使います。

2. 欧文フォントの基本

英語などの欧文フォントは、日本語以上に種類が豊富ですが、基本は「セリフ」があるかないかで判別します。

セリフ体（Serif）
- 日本語の明朝体のように、文字の端に小さな装飾（セリフ）がある書体です。
- 伝統的で格調高く、雑誌や書籍の本文によく使われます。
サンセリフ体（Sans-serif）
- 「サン（Sans）」はフランス語で「〜がない」という意味。つまり、装飾がないゴシック体のような書体です。
- 代表格： Arial や Helvetica。これらは世界中で愛される、最も標準的でクリーンなフォントです。

3. フォントの心理学：選ぶ基準は「印象」

フォントはデザインにおける**「視覚的な声色（こわいろ）」**です。言葉の意味が同じでも、フォントが変われば受け手に伝わる「トーン」が180度変わります。

フォント	与える心理的効果	おすすめの用途
細い明朝・セリフ	高級感、洗練、静寂	高級ブランド、美容、詩集
太いゴシック・サンセリフ	元気、信頼、力強さ	ニュース、IT企業、セール広告
丸ゴシック	優しさ、安心感、幼児性	子供向け、ペット用品、食品
手書き・スクリプト	人間味、親近感、特別感	手紙の挨拶、カフェの看板

プロの視点

「可愛い」イメージなら丸みのあるゴシック、「誠実さ」なら細めの明朝体など、言葉の意味とフォントの形を一致させることが大切です。

文字組みの黄金律　読みやすさをコントロールする

「文字組みの黄金律」について、初心者が今日から実践でき、かつプロの仕上がりに近づくための具体的なテクニックを深掘りして解説します。

2. 文字組みの黄金律：読みやすさをコントロールする

フォントを選んだ後の「文字組み」は、読者の「視線の流れ」をデザインする作業です。どんなに良い内容でも、文字組みが悪いと読者は途中で疲れて離脱してしまいます。

心地よいリズムを作るための「黄金律」を見ていきましょう。

① 行間（Line Height）：視線の迷子を防ぐ

行の間隔は、読みやすさを左右する最大の要因です。

黄金比は「1.5〜1.8倍」
　文字サイズが16pxなら、行の高さは24px〜28px程度が理想です。これより狭いと「圧迫感」が出て、広いと「バラバラな印象」になり、次の行へ視線を移すのが難しくなります。
「用途」で微調整する
- スマホ向けの長文
  　画面が小さいため、少し広め（1.7〜1.8倍）に取ると余白が生まれて読みやすくなります。
- 見出し（短い言葉）
  　少し狭め（1.2〜1.4倍）に設定すると、言葉の塊としてのインパクトが強まります。

② 一行の文字数　目の往復を最適化する

人間が一度にスムーズに読める文字数には限界があります。

理想は「15文字〜35文字」
- 紙媒体（本や雑誌）
  　 15〜25文字程度が、目が疲れにくいとされています。
- Webサイト
  　30〜40文字程度が一般的ですが、40文字を超えると、視線の移動距離が長すぎて読み飛ばしが発生しやすくなります。
プロの技
　1行が長くなりすぎる場合は、無理に1行にせず「2段組み」にするか、左右の余白（マージン）を広げて1行の文字数を制限します。

③ 字間（Tracking）：言葉の「密度」を操る

文字同士の全体的な間隔を調整し、文章の「雰囲気」を作ります。

本文は「適度に空ける」
　特に日本語は一文字が正方形の中にデザインされているため、ベタ打ちだと詰まって見えます。ほんの少し（1〜5%程度）広げるだけで、紙面に「空気」が通り、読みやすさが劇的に向上します。
タイトルは「少し詰める」
　大きな文字は隙間が目立ちやすいため、少し詰め気味にすることで、一つの「ロゴ」のようなまとまりと力強さが生まれます。